パメラの指先がマサトの大胸筋を掴み、引き、そして上下させる。まるで自分の筋肉の有り様とか働きを改めて認識させられている気分。アリエスもたまに弄くって来ることはあるが、こんな本格的に受身で扱われたことは無い。
同じような攻め？を上半身に施され続けている。もう何分位経っただろうか？きつめだが心地好い。マッサージをされているようだ。少し眠気を催して、咥えさせられていたシャツの裾を落としてしまった。
目が醒めるようなビンタが飛んで来た。
「しっかり咥えとくように言ったでしょう」
口調は優しい。
べノンの要塞でアリエスを散々責めた例のバラ鞭が、マサトの腹の上で大きな音を発てた。衝撃は少ないが、ヒリッとする。
髑髏型をした拳大の柄、その眼腔に稲妻のようなものが走って見えた。
「ううぅっ！」
左の乳首に軽い電撃を加えられ、呻いた。
獲物を甚振るネコのように表情を窺って来るパメラ。
再びシャツの裾を咥えさせられ、鼻を抓まれる。
ちょっと鼻水が飛んだが、拭きようが無かった。
次の攻撃を警戒し、俯き加減になるマサト。
「顔を上げるっ！」
髪を掴まれ、後ろに引っ張られた。
彼の頭を掴んだまま、部屋の正面の大窓の方向に鞭の髑髏を向けるパメラ。
彼女は、柄の頚椎形状の部分にある小さなパネルを操作した。
薄暗い海中が一杯に広がる。その窓の上部の一角が、横楕円形のディスプレイと化した。
居眠りする女性の顔が映し出された。魔法の鏡のようにぼんやりと、やがて鮮明な画像を形成する。
レナだ。大掛かりなマッサージチェアのようなものに座らされている。これはリアルタイムの映像？
マサトの疑問に回答を与えるようにパメラが話す。
「色々、気になるでしょう。これまでレナがどうしてたのかとか？アリエスが私達にどんな事をどこまでされたのかとか？」
「ダイジェストにしてあるから、しっかり見とくのよ。あなたの今後にも関係あることだから」
そう言いながら、鞭のパネルの上で指を躍らせるパメラ。
彼女の背後に陣取るカメラの一つが小刻みに動く。カチャカチャ音を立てながら。
「目を画面から反らしちゃ絶対に駄目だから。アイトラッキング設定したから……」
パメラは、柄の先端の髑髏で彼の顎を軽く小突きながら言った。
「一秒以上視線を反らすと、あることが起こるの」
パメラは後ろを振り返る。
「あの子達を繋いでるウインチが逆転するの。秒速1メートルよ。2秒で射程に入っちゃうから」
レナのデニムシャツの白いシェルボタンが外されて行く場面が、目に入った。
一見スリムな彼女が、どんなバストをしているのか興味が湧く。
正直な男心は制し得なかった。鼻から吸い込む息が、思わず激しくなる。
呼吸に膨らむ胸板を叱り付けるように、パメラが電撃を与えた。
乳首が性的に感じると言った感覚は今まで良く判らなかった。寒い場所で裸になった時、チクンチクンするようなそんな感覚を言うのだろう位にしか思っていなかった。
パメラの電撃を警戒し、極度に乳首に神経を集中している今、脊髄から頭頂部に直接抜けるような昂奮が収まらない。変な性感を開発しないで欲しい。そんな覚悟は出来てない。
「そんな事知るかっ！」とばかりに、乳首を電撃が襲った。何故か尿道にもピリピリ感じる。
レナの股間を女の手がもみしだく場面。ホワイトジーンズの股のその奥にどんな光景を隠しているのか激しく気になる。アリエスと比べて少し大人し目のまた違ったタイプ。そんなレナの陰部が早く見たい。もはや、再び膨張するペニスを押さえる術も気持ちも失せていた。
「あっ！」と思った瞬間。マサトのブリーフのウェストは、激しく前に引っ張られた。
パメラは一瞬、クラッっと来た。
「あんたサラミみたいな臭いになってるじゃん」
そういって彼女が見上げると、マサトは一心にディスプレイに目を向けている。唇を微かに震わせながら、言いつけを守っていた。
ジーンズの腰に両腕を廻すと、尻の部分に手を差し込むパメラ。そのまま肘を使い、ブリーフごとジーンズを太ももまで引き摺り下ろした。
屹立したものが、パメラの顎を叩きそうになった。
頬ずりしたい気分を抑えながら、しみじみそれを眺め、同時に彼の尻たぶを弄んだ。マサトは大内転筋に力を入れ、女のように内股になる。
具合の良い弾力と感触に、パメラの心の中で呟く悪魔。「こいつはもう私のものだ」……
すくっと立ち上がり、アキラの斜交いに立つ。「ふぉーっ」と言うため息だか歓声だか判らない中途半端な声が、後ろから聞こえて来る。
振り向きざま、件のディスプレイの内容を確認するパメラ。レナの興奮にうねる臍周りとその下の黒いショーツがアップで映っている。アキラの口にあれを咥えさせてやった時の感触と饐えた臭いが、思わず脳裏に甦ってきた。
「ほうら、もうすぐレナのおま○こが見れるよ」
マサトの右目の端から、涙が零れ落ちそうになっているのをパメラは見つけた。
人差し指にそれを採ると、微かに舌を出し舐めてみた。愛奴のしょっぱい涙を味わう。一瞬マサトはパメラを見たが、直ぐに視線を元に戻した。
「どう、レナのアンダーヘア？結構ぼうぼうでしょ。今はもうお手入れして上げたけど」
パメラの言葉をちゃんと聞いているのかは定かではない。が、マサトのペニスは返事をするかのように前後に脈動している。
もう包皮小帯にまで垂れ落ちそうな透明の液が、亀頭の先端に溢れ出ている。
「あなたのチ○チ○はもう私のものなんだから、勝手になんでも出しちゃだめよ。おしっこする時も、ちゃぁんと許可取るのよ」
指で拭き取るように亀裂の液体を掬うパメラ。
思わず匂いたい衝動を抑え、それをマサトの鼻の頭になすりつけた。
「判った？」
マサトは、イヤイヤをするかのように身を震わせる。
パメラは、再び窓の方向に向かうと呪文を唱えた。
「海路を通う者達よ、汝らの望みし光景のありやなきや？この洞穴に」
窓の外がサーチライトで照らされたように明るくなり、海面に滑走路のような光の帯が走った。
この「開けゴマ！」的な設定は、サラの趣味だ。
面倒くさい！キー設定しとけば良いのに。その上、台詞長いっ！ちゅうねん。
銀色に光る魚の群れが窓に向かって、遠くから殺到してくるのが見えた。それを阻止するかのように、サメや龍型の大型海棲生物が襲い掛かる。捕食され、チャフのように鱗を撒き散らす餌食たち。
「何匹、辿り着くかな、ポゼスチャン達」
そう言った後、再び屈みこむパメラ。脈打つペニスをマイクのように掴み、陰嚢の膨らみ具合を確かめる。
「皆、あんたのオチ○チ○を見物しようと頑張ってるようよ」
弾力を愉しむパメラの右手。抵抗するかのように内股で腰を引くマサト。
それは、詮無き事だった。
「大分溜まってるわね」
マサトを見上げ、言葉を続ける。
「早く、抜いて欲しいでしょ？」
訊ねるパメラを一瞬見下ろし、視線をすぐまたディスプレイに戻す。
それを追いかけるように立ち上がるパメラ。
唾液で湿りきったマサトのシャツの裾を引きながら言った。
「もう、咥えなくて良いわ」
シャツの裾は零れるように彼の口から落ちた。
唇を歪ませ、懇願するような切ない眼をパメラに寄せる。
パメラは、眉間に皺を寄せ頸を振る。
「ここにはマスキング掛けてあるからさ」
そういってマサトの股間を手の平で叩く。
「でも 公差+1ｍｍだから、形と大きさは丸判りよ！男らしいとこ見せ続けるのよ！頑張って」
パメラは、すっと背筋を伸ばすと、踵を返した。そしてドアに向かって歩きながら、引導を渡すように呟く。
「私、用あるから。暫く部屋出るわ」
驚きに震えるマサトの声がパメラの背を追いかける。
「まさかの放置プレイ？」
思わず振り向き、笑顔を返すパメラ。
「まだ、そんな面白いこと言う余裕がある見たいね」
マサトは大きく目を見開き、切に困惑した眼差しをパメラに向けた。
「お尻の穴に気を付けるのね」
そう言い残し、隣の部屋へ出た。
扉の閉まる音と同時に、ウインチが逆回転する音が聞こえた。
「うわわー！」と言うマサトの悲鳴を置き去りにし、パメラは通路に歩み出た。