テーマパークの虜達 【37】
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意識してか、しなくてか、レナの太ももは、獲物を誘うかのように開かれる。
アキラの中指の行く手で、股間の二つの丘がなだらかになり、白いデニムの雲の下、泉
が息づいている。生地の裏側で、空間が面積を広げ、奥行きを増した。雲の上を彷徨う恋
人をもどかしく見上げるように、レナの膣口は喘いだ。
アキラの親指の腹は、熱い谷間の先端を揺さぶる。ステッチの違和感に翻弄されるレナ
の陰核。耳を掃除され、痒い部分に耳掻きの先端が触れたかのように、体を振るわせる。
息遣いも荒く顕かに受け容れ体勢に入ったレナに少し不安を覚えたアキラ。一体、この
後、ここでどうすればいいのか、まさか、ステージの上で、挿入行為そのものをするわけ
には行かない。パメラ達の目的はそれなのか！？アキラは身震いした。
でないとしても、レナのこの体の昂ぶりをどうしてやれば良い？立位のまま彼女を往か
せてやることが出来るだろうか？すでにアキラの右手に馴染んだレナの股間は、彼の指先
に貪欲に表情を伝えて来た。性感帯にアキラの指捌きがヒットするたび、ガタガタと体を
揺らすレナ。少しは、弾力がありそうな緑色のベルトだが、彼女の手首が心配になって来
た。がけから落ちそうな者が必死でしがみ付くかのように頑張るレナ。彼は、落ち着かせ
てやるように、彼女に唇を合わせる。
興奮させ、そしてそれを宥めるような、矛盾した愛撫が続く。時折、何かを我慢するか
のように、あらぬ方向に向けられるレナの瞳。
進み所を見失いかけたアキラに天の声が囁く。
「あなた、いやらしいわね！そんなに興奮させちゃって。サディストの素質あるわよ。女
に興奮を持て余させるのは、立派なＳプレイなんだけど！そのまま続ける？彼女失神する
かもよ」
「頑張ってるご褒美に彼女の声を聞かせてあげようか」
パメラの声と何かがミキシングされた。
レナの唇の動きと刹那ずれる感じで、吐息が聞こえてきた。マラソンの呼吸のようでも
あり、熱にうなされた喘ぎ声のようでもある。聞き覚えのある声紋に思えた。目の前の女
性に対する愛情がより高まった。アキラの指先が彼女の股間を慰め、押し出されるような
息遣いが返ってくる。
「その娘、大分興奮してるでしょ。おま◯こばかりでなくて、胸も責めてあげて、さあ、
まずは、乳首にキスするのよ。はいっ！」
アキラは、レナのバストが、見知らぬ連中の目に晒されるのを恐れ、なるべく、彼女に
覆いかぶさるように間を繋いでいた。この命令は、その思惑を挫くものだった。
しかし、彼の置かれた異常な状況は、彼の行動パターンを柔軟で従順なものに変えつつあ
る。
アキラの手が、股間から去り、まるで彼女の体はそのことを残念がるかのように、仰け
反った。自ら腰を踊らせば、なんらかの絶頂を得ることが出来た筈だったと後悔する。レ
ナはがくりと肩を落とした。このまま、彼が去れば、叫び声を上げてしまいそうな気分。
アキラの頭が下がる。さっきまで、レナの股間を責め続けていた温かい手が彼女の太腿に
置かれた。
二人の体の間に在ったレナの乳房は、今や裸だった。
外気に触れた、乳輪は、まるで先端に腫れ物が出来たかのように勃起しているのが自覚
出来る。自分の興奮時の乳首を見たことは在る。それが始めて、アキラの瞳に映っている
のだと思うと、ますます感情は昂ぶり、うなじから首筋に掛けて、ゾワゾワッとした痺れ
が走った。昔、アキラがプールサイドで水着の前を膨らましているのを茶化したお茶目な
思い出が頭の片隅に浮かぶ。アキラの旋毛を愛おしく見守るレナ。彼女の乳房の輪郭を優
しく撫で上げるアキラ。右の乳首が、温かくなった。アキラに銜えられたことを知った。
心の中に嬉しい興奮が湧き上がり、涙が滲んだ。霞む視界で目線を上げる。洞窟のような
インテリアの客席。ステージを囲むテーブル席にはカップルも居ればグループも居る。誰
もが飲食の手を止め、好奇の眼差しをこちらに向けていた。左の乳房が、衆人の眼差しに
晒されていた。客席の見知らぬ男女達に対して悔しさが込み上げて来る。そのことを察し
たかのようにアキラの右手が優しくレナの乳房を包んだ。掌を優しく擦り付けてくる。心
臓の鼓動が吸い込まれ、愛情が彼に伝わっていくかのよう。
フロアの天井の両サイドからは、客席を囲むかのように、冷たい煙が滝のように噴き降
りている。ステージに向かって、円を描くように放たれる緑色のレーザー光が幻想的な渦
を描き出し、レナの魂を前方に引き摺り出そうとするかのように回転した。
乳輪の、興奮して起伏の出来た肌をアキラの舌の表面がなぞる。まるで上半身全体が何
者かになぞられたかのように、ぞわぞわっと快感が走った。
アキラは、レナのバストへの愛撫を続けながら、再び、レナの体を隠すように直立しよ
うと思いついた。その目論見を砕くような、パメラの声。「次は、お臍よ！」
名残惜しそうに胸への愛撫を続けるアキラに叱り声が聞こえた。
「早く、跪きなさい！」
「彼女のお尻を抱いて、貪るように！」
アキラは、レナを見上げた。二つの乳房が宙に晒され、見世物になった。情け無げな表
情に見えた。アキラは謝るかのようにレナの腹に顔を埋め、幾度も接吻する。マスクの表
面が腹を擦れ、こそばゆい。甘えるように頭を揺するアキラ。それが返ってレナの乳房を
揺らせ、哀れを誘う。そんな彼らの事情にはお構いなく、煽るようなパメラの命令が飛ん
でくる！
「お尻をもっと強く掴んで、左右に引きちぎるような気分でやるの！」
アキラは暗示に掛かったかのようにその通りにし、レナは「ひっ！」と悲鳴を上げた。
まるで、お尻の穴に、触れそうな程、アキラの指が食い込んで来たからだ。
「お臍の穴を抉るように舌を使いなさい！」
命令どおりにし、体験したことのない味わいがアキラの舌の先端を侵した。
レナは激しく赤面し、アキラの前から走り去りたい気分だった。臍の奥を基点にぐるり
と舌の腹を廻らすアキラ。異常な一体感を感じる二人。レナは、自分の臍を中心にしてぐ
るりと回転してしまうそうな眩暈を感じた。腰の奥深くで治まりかけてた欲望の迸りが復、
蘇ってくる。アキラに腹の肉に齧り付いて欲しい気分だった。そうすれば、この自分がど
こにいるかわからないようなイリンクスから逃れられるかも知れない。
第38章へ