テーマパークの虜達 【38】
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「スモークちょっと焚きすぎじゃない。あの子達、寒いんじゃない」
パメラが気遣った。
「そうでもないでしょ。レナなんか大分火照ってるわよ。でも後で、風邪引くかもね」
サラは応え、また思い出したように言った。
「そろそろ下も脱がさせたら。レナが腰をうずうずさせてるよ。意外とHな体の持ち主
なんだから。あの娘……」
昨日の淫行を頭に思い浮かべるサラ。そのにやけた表情を見ながら、パメラはスタッフ
然としたこの役割に、微かに飽きを感じ始めた。直接二人を弄くりたい衝動に駆られなが
ら、サラの意見を採用する演出家パメラ。彼女はマイクのスイッチを再びオンにした。
来た！！半ば恐れ、その反面聞き耳を起てていたパメラの命令。
「お臍舐め舐めはもう終わりよ。見上げてごらん。その娘はもう我慢出来ないって」
飴玉を欲しがる赤子の唇のように、半ば開いた唇でこちらを見下ろすレナがそこに居た。
パメラが言う。
「おま○こに噛り付いてみなさい」
優しくレナのヒップを抱くアキラ。
聞こえないのか、意味が理解出来ないのか、ジュリエットを見上げるロミオのように静止
していた。パメラは語彙を強める。
「噛り付けっ！」
少し経って、レナが動いた。まるでその言葉がレナ自身の口から出たかのように、股を
開き、下品な格好でアキラの顔に股間を突き出す。アキラの鼻にパンツのまたぐりが当た
った。
哀れなレナを今すぐ、何処かに連れ去ってやりたい。人目のない暗い部屋へ。そんな衝
動を代替するかのように、アキラは命令に従った。まるで、腹の空いた少年がアンパンに
噛り付くかのよう。切ない熱気が口の中を満たした。
「デニム生地のもどかしさが良いでしょ？ 昨日、ミーナ達の生のお○んこに慣れすぎて、
薄れた新鮮味を蘇らせるのに丁度いいんじゃない？」
アキラは否定するように頭を振った。そして彼は心の中で叫んだ。
レナは格別なんだ……
彼女は激しく顔を赤らめた。既に充分に赤らんだその頬に、更に赤みが増す。既に理性
などとと言うものが少数勢力になってしまった彼女の頭の中でも、微かに客観性は残って
いる。もし、マスクが無ければ、まるで寒い地方の童のように見えるのではないかと思え、
その想いが更に頬を赤く燃え上がらせる。アキラはレナの股間に齧り付き、獣のように頭
を振った。十歳以上年上の男性に弄ばれているかのような感じ。どこか挑発的でやらしく
思えた。何が彼をそうさせるのか？それは自分の想像に過ぎないのだろうか？ひょっとし
てこれはアキラじゃないのではないか？彼の前歯が、生地越しに、凄く敏感な部分に触れ
る。まるで直の接触を予感させるかのように。舌が大事な窪みを押し上げるのも感じた。
まるで大地震の初期微動のように。
パメラは感じていた。よちよち歩きの時は相手が一人でも難しかった。自分は全然楽し
くない。今では、一体一の仕事と悦びは堪能出来る。でも、相手が二人になると、一体何
の為にそれをしているのか解らなくなる。私は神じゃない。貴方達の行く末までは、面倒
見れない。
サラがこちらを見詰めている。
その瞳はこう言っていた。でも貴女が始めた事じゃない？
「良い感じだけど、あのままじゃ、間が持たないわ！」
サラの肉声に我に返り、パメラは次の台詞を口にした。
「アキラ、その娘のパンツも脱がしちゃいなさい」
彼は凍り漬いた。
幾らなんでも、レナを衆人環視のもと、すっぽんぽんにすることは憚れる。
レナの臍の下。パンツのホックを見詰め、彼女の股間から漂う生暖かい空気を呼吸しな
がら、予想されるパメラの催促に、どう応じたらいいか考えを巡らせた。
しかし予想に反してもたらされたのは、怒声では無く、穏やかな説得。
「大丈夫よ、もう一枚穿かせてあるらしいから。貴方本当に優しいわね」
おそるおそる目の前のホックに手を伸ばすアキラ。レナは観念するように目を閉じ、口
元を可愛らしく引き締めている。
指先を漂わせ、未だ決断出来ない彼に、パメラが言う。
「このゲームを終わりにしたいの？この運命を選んだのは、結局は貴方よ。この現実にし
がみ付いているのも貴方。何なら。二人ともマスクを引き剥がしてあげようか？」
「正体を晒してリタイアする？私達は敗北しましたので全ての権利を返上しますって！」
レナを見上げるアキラ。一所懸命その瞬間を待ち、耐えるレナ。
今度のパメラの声には、低く脅しの響きが含まれていた。
「そんなには待たないわよ！」
アキラの指先がホックに触れた。レナの柔らかい腹部が怯え、震える。ウェストに手を
掛け、ズルズルと慎重に摺りおろす、レナもけな気に協力し、腰を揺らした。太腿まで下
ろし、アキラは半ば騙されたことを悟った。下着とはとても言えない腰紐さえない代物、
辛うじてヘアの生え際から下に向けて貼り付けた唯の白い布切れだった。憤りを覚えなが
らも、膝まで下ろす。やがて白いパンツは相棒のビキニトップと再会した。哀れな主人の
股の下で、忘れ去られたハンカチーフのように。
パメラが音声に何かをミキシングし、ざわめいたホールの音が骨伝導でアキラの頭を満
たした。
たちまち差し迫った現実が頭を擡げる。ラテン系のダンサブルな曲に紛れ、観客達の嬌
声が聞こえる。レナが、パンツさえも脱がされたことに対する歓声だろうか。目の前で微
かに震えるレナの下半身。宇宙船のコックピットの中でのアリエスの膝小僧を思い出した。
面積の小さい白い布は全てを隠し切ることが出来ず、両脇から黒い毛が僅かに食み出て
いる。アキラの頭と顔が同時にかっとなった。そして思い付いた事を実行する。パメラの
指示を阻止しようとするかのように。レナの両足をそれぞれ肩に抱き、両手で彼女の背を
支えた。馬鹿力が出たが、そんなに長時間その姿勢が続けられるとは思っていない。でも
こうすれば、レナの惨めなヘアヌードが人目に晒されることは無い。そう思った。目の前
に、今度は更に悩ましげなレナの股間があった。彼女は何かが産まれるのをこらえようと
するかのように、唇をぎゅっと引き締めている。或いは何かを待つかのように？
アキラの太腿の間では、ビキニからはみ出そうな勢いで男根が膨らんでいた。許容量を
超え血液が流れ込んでいる。何かに突っ込まないと爆発しそう。
アキラの鼻息に吹かれるたび、レナの体が震えた。
彼は、とうとう望んだものを素直に受け止める決意をした。レナの汗の匂い、発情した
匂いが、綯い交ぜになって、彼の鼻腔を駆け抜けた。彼女の複雑な部分に随分と密着した
布切れは、性器のビラビラと一体となり、これでもかと言うほど男心と想像力をくすぐる。
唇を彼女の陰唇に近づけた。軽く何度かキスし、今度は泉の窪みに舌の先を差し入れる。
すっかり濡れ、彼の舌を吸い込みたげな膣口。彼女の秘められた味わいとお近づきになっ
た舌を、今度は上に撫で上げる。薄い布切れに包まれながらも、左右に分かれる陰唇。レ
ナは奮え、彼女の体の中を走った電流にも似たものが、アキラの体にも走る。愛しい人の
舌に触れられる興奮に、陰唇は上に捲くれ上がる。まるでその先の赤く充血した場所へ誘
うように。彼女のもの言わぬ唇とそれを慕う男の唇は暫し情熱的な語らいを楽しんだ。