テーマパークの虜達　【47】
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　昨日、惑星ターコイスの海洋生物にポゼスし、ピーピングに出かけた。ネット友達のア
ドバイスに従い、海底を這うように進む蛸型の生物を選んだ。以前、魚型の生物を選び何
度かトライ、いずれもすぐにドラゴン系の生物の餌食になったので、もうすまいと思って
いたのだが……
　途中ロブスターのようなのに遭遇したが、うまくやり過ごした。その後、基地の近くに
到着する迄、いらいらするほど時間がかかった。それでもようやく目的地に達することが
出来たのだが、蛸型生物はそこで途方に暮れた。海中に聳え立つ要塞を見上げると、覗き
見にトライしたい窓の灯りが、上の方にちらちら見える。でもそこでは、凶悪そうなつわ
もの達が場所盗り合戦で、激しい死闘を交えていた。飛び散る鱗がキラキラ瞬く。なんか
参戦できそうにないレベルの連中だった。結局、以前と違うのは、なんとか目的地に到着
出来ただけかと、がっくりしながら、要塞の周りをゆらゆらと俳諧した。殺し屋の目つき
をしたうつぼが頭の上を横切ったので、あわてて岩陰に隠れた。
　そして洞窟のような所に落ち込んだ。真っ暗な筈なのに、微かな灯りが見える。洞窟の
もう片方の入り口か出口かがあるのだろうと思い、その方角にすすんだ。
　数秒後に、思わぬラッキーに遭遇した予感がした。まもなく窓が見え、その向こうには、
寝室のような空間が見えた。照明が暗めなので、顔は良く判らないが、裸の女がもう一人
の女をベッドの上で、組み伏せている。「イヤッター」と心の中で叫び、窓に張り付いた。
吸盤の一つに付いた視覚器官を窓に貼りつけ、まじまじと観察を始める。上になった女の
指先が、激しくもう一人の女の股間に突きたてられていた。そのしなやかな指先が、くる
くる回転する様は、まるで、狭い巣穴に何とか潜り込もうとするドジョウのようだった。
鼻血がでそうな光景だ。レスリングでフォールをかわそうと努力する選手のように腰を上
下させる女。ひと際力強く、腰を持ち上げ、窓の方に股間を突き出して来た。黒い茂みか
ら見えたその部分の形相は、まるで、獲物を見付け舌なめずりするかのよう。
　回想していると、ち○こに力が漲って来た。ぎんぎんに勃起した自分の逸物が、何者か
にぎゅっと掴まれた。うわっと驚き、ガタンと体を揺らした。

「驚いちゃって可愛いわね……」
　女の声が聞こえた。
　今日、男は惑星ベナンの都市要塞に遊びに来ていた。昨日は結局3時間以上ターコイス
の海洋シュミレーションにオンラインしていたので、ここで前払いした金額の半分位の料
金がかかった。もう少しで、女達の顔付きも確認できそうだったのに、何かでかい奴にバ
クリと食われた。もう一度、トライし要塞に近付いた時には、部屋はもう真っ暗。残念！！
　アリエスがパメラに捕り、レナが惑星ターコイスで遭難して以来。彼女達との棚ボタの
接近遭遇を期待するアクセス者や来場者が数割増らしい。アリエス景気ともレナ特需とも
呼ばれている。自分もそんな客の一人なのだが、椅子に括り付けられ、暖かいタオルを顔
に載せられていると。理髪店に居るようで、心が落ち着いてきた。冷静に考えると、M嬢
付きのカップル調教プレイなんてのを見つけ、もしやと思い試して見た自分が笑えて来た。
そうやすやすアイドルとHなことなんて出来るわけがないのに。そもそも惑星ベナンは、
半パメラ勢力の統治下にあるのだからそんな設定が許されてる訳がない。でもこの建物の
どこかの部屋で、アリエスが裸同然でいたぶられていたのだと思うとワクワクもしてくる。
　二人の女の前で、生まれたまんまの姿になって、M役の方にち○こをシャブシャブして
もらってる自分の姿を想像すると、自嘲的な笑いが込み上げてきた。スンスンと鼻息を漏
らす。
「怖いの？」耳元で、女王が優しく囁いた。
　でも結局、女王もM嬢も可愛くて良かった。是非とも普通にお付き合いをお願いしたい
位の美形だった。
「SMは初めてって本当みたいね？」
　女王のさらりとした髪の先が肩を撫でた。
　また新しいプレイが始まるのかな？と思う。
「でも返事はちゃんとしなきゃだめよ！」
　女王の声色が変わった。
「始めの挨拶からやり直して見ようか？」
　男は、胸の上に何かが落ちてきて、ここがイメクラでなくSMクラブであることを思い
出した。
　男の口からでたのは、返事ではなく悲鳴だった。
「あぢっ！」
　鳩尾から脇腹にかけても熱いものが、ボタボタと走り抜けた。
「あぢっぢぅぢっぢぃー！！」
「熱いって言うな～～！」
　理不尽な命令とともに万歳した二の腕に鞭が跳んだ。
　そんなに痛くはなかったが、激しい音に、男は震え上がった。

★

　惑星べノンの防衛は極めて心許なかった。要塞の防衛兵器は、ここを攻略する時、全て
破壊してしまった。パメラがギリギリまで撤退しなかったからだ。
　その後、アリエスとレナのチームにも出費して貰い、兵器の購入と装備を進めているが、
まだ、以前の三割にも満たない。パメラの艦隊が逆襲して来たら、二・三十分しか持たな
いだろう。まあ、あれだけの被害を受けたのだから、幾ら資金力豊富なパメラでもまだ体
勢を立て直せてはいないと思うが……
「猶予は2・3日かも知れないよ」
　トムがそう不安なことを言った。
　彼は現在、アリエスのチームの代表代行を任された実質トップだ。ベナン防衛の援軍に
来てくれている。マサトは、軍の建て直しに専念しているようだ。
「彼らの最大の収入源だったこの星は、今私達の手にあるのに？」
　実際ワンダーの元に入って来る税収も、今まで支配していた惑星全部に匹敵するような
金額だった。
「それは甘い観測だよ。ベナンでの税収はパメラの総収入の一割位に過ぎないんじゃない
かな」
　諭すように指摘され、ぼそりと応じるワンダー。
「そおなのかな～～」
　あなたはチームの代行だけど、私は本物のチームオーナーなのよ。女王様なんだから！
心の中でそう叫び、トムに見えないように、可愛く口を尖らせた。