テーマパークの虜達 【20】
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アキラは、拘束される不安にドキドキしていた。
不敵にほくそえむ二人の背後から、ミーナがバスケットに入ったオレンジ色のタオルを運
んできた。素っ裸である。アキラは薄々感じていたミーナの立場を再認識した。アキラと
大差ない立場、或いは、アリエスがこういう境遇に甘んじるかどうかは別にして、アリエ
スが陥ったかもしれない立場なんだ。露出度は高いが、服を着た二人と、全裸で彼女らの
背後に控えるミーナを比べるとあまりにもミーナが惨めに見えた。自分が裸なのを忘れそ
うなくらい同情を感じる。一夜を共にして、確かな愛しさを感じる。ちらりとアキラの表
情を窺ったミーナの目にも、相手を気遣う気持ちが見て取れた。
「すっきりしてあげるわ」パメラはそう言うと、ミーナに指図し、タオルを手に取った。
タオルから湯気が立ち昇るのが見え、パメラは、手の平で温度を確かめた。
パメラは、不意にアキラのこめかみの辺りを指先で押しのける。まるで物心つかない子供
に言うことを聞かすように！左の首筋から肩にかけて心地好い温もりが広がった。背後か
ら茜が、アキラの右肩に同じ事をする。
両足は、ミーナが温めてくれた。
パメラと、茜は病人の体を清潔にするかのように、アキラの腕や上半身を蒸しタオルで
拭う。パメラは脇の前の筋肉を悪戯に強く摘んだ。アキラはこそばゆいような痛みに身を
捩った。背中を拭いてくれていた茜が前に廻り、アキラの腰を抱える様にタオルを当てた。
尾呈骨の辺りが心地好く温もり、全身が温かく纏め上げられる感じがした。まるで、男が
女の腰を抱く様に、アキラの腰を引き寄せる。むっちりした、茜の胸と上半身が迫る。ビ
スチェからはみ出しそうな、匂い立つような、女の色気を感じた。支配的だが色っぽい目
でアキラを見据える。溜まらず目を反らした視線の先には、一見ほっそりしてそうだが意
外と肉付きの良い、パメラの太腿が在った。姿勢が変わる度、股の付け根に筋が浮かび、
また沈む……色っぽい。二人の女王に挟まれひざまずくミーナは、まるで雑踏に揉まれる
子犬のようで、哀れだった。アキラの内股に温もりがやって来て、ミーナの手がアキラの
大事な部分に触れた。はっとした表情でちらりとアキラを見上げ、思わず目があった。二
人は目を反らし。アキラは、絶頂を迎えないまま、ミーナと引き離されたことを思い出し
た。体が反応し、自分が置かれた異常な状態が、興奮を呼び起こそうとする。胸が高鳴る
のは、まるでトキメキのように感じる。おかしい。男としての自分は、廻りの女性に何か
を求め出している。でもそれに抗おうとする、理性的な自分もまだ確かだった。
「こらっ！」茜が怒鳴った。
そして、アキラの神経ネットに電流が走る。
茜がアキラのペニスを強く掴んだのだ。まるで、ネクタイを乱暴に引っ張る様に。そし
て、自分が勃起しているのを認識させられた。
「私のあそこを突いたわね」「えっ！何考えてるの？」「ミーナとやりたらなかったわ
け？」
茜の手の中でアキラの持ち物は、ギンギンに膨らんだ。
アキラの腹を温めていたパメラの手が下腹に降りてきた。少し冷めたタオルが、天狗の
鼻に掛かるように、アキラのものに掛かった。
「ミーナとやりたらないの？」パメラが詰問し、茜の握る手に力が入る。
局部の血圧が痛みに変わり、アキラは歯を食いしばった。
「盛りの突いた犬には、首輪が必要ね」パメラが言い。アキラのペニスは、茜の握力から
自由になった。
茜は、スタンドの傍らに置かれた鉄製のワゴンの中段から、鋲の突いた黒い皮製の首輪
を取り出した。パメラが受け取り、それをアキラの首に嵌めた。うなだれた頭を無理に正
面に向けられる。アキラが呆然としている傍らで、茜がゴチャゴチャしていて、天蓋から
何やら鎖に繋がれた一対の黒いプロテクターのようなものを引き摺り下ろした。騒がしい
鎖の音に驚き事態を確認しようとするが、パメラに頭を掴まれ、そうも行かない。薄く瞼
を閉じてパメラの眼光を避けている間に、茜がたちまちアキラの膝上の部分を、でかいサ
ポーターとベルトのようなもので拘束した。とんでもないことをされそうな予感がアキラ
の鼓動を早めた。変わりにアキラの陰茎は小さく縮みはじめていた。引っかかっていたタ
オルも知らない間に落ちて、無かった。
パメラが言った。「しっかり掴まってなさい！」
茜が操作するキュルキュルという音が聞こえ。アキラの足が宙に浮く。皮手錠の繋がれ
た鎖をしかたなく握り締めた。股が開く恥ずかしさに、太腿と腰に力を入れた。
茜が叱る。「鎖の高さが調整しにくいじゃない」
ミーナの前でモロ画像の開脚シーンのような姿勢を採らされるのは御免だ。しかも昨日
と違いこの部屋は、広く明るい。パメラが鞭の柄でアキラの膝を割ろうとした。
「あなたやっぱり可愛いわね。開き直った奴は嫌いよ」パメラが不敵に笑んだ。
茜が背後から相槌を打った。「ええ。色っぽいわね」
再度命令が告げられる。「力を抜きなさい」アキラには、彼女達の言うこととやること
が良く理解できない。
パメラの手に力が入った。反って、アキラは股を閉めようとする。女の子が恥ずかしが
るようにぎゅっと……
茜が小さなリモコンのようなものを放り投げ、パメラが受け取った。パメラの鞭が膝か
ら去り、安心する間もなく。アキラの足の裏に強烈なバイブレーションがやってきた。痺
れるようなバイブが間断なくアキラを襲う。パメラは不敵に笑みながら手に持つリモコン
をアキラの方に向けていた。履かされたブーツの靴底に何か仕掛けられているようだ。捕
虜を命令にしたがわせるための。いや奴隷を調教するための装置が……
驚きに、こぼれ落ちそうな目でパメラを見詰め返すアキラだった。
下半身に走る尿意を催すほどの痺れに、力を失ったアキラは、容易に足を開き、茜のハ
ンドル操作と共に、M字型の開脚状態で吊り下げられた。
足の痺れからも解放され、アキラは小便を漏らさなかっただけでもまだ良かったと、変
な安心感を抱いた。同時にミーナの目が気になり、惨めな姿の自分に対する反応を窺った。
ミーナは、叱責される家来のように、膝を着いて小さく控えていた。彼女が自分の姿か
らなんとなく目を反らしていてくれたことに僅かな満足を感じた。可愛く小さな三角を描
くミ―ナの茂みに目が行った。勝手な自分に微かな反省を覚えた。