テーマパークの虜達 【53】
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ついさっきまで、随分アキラを悩ました毛ばたきのようなものは、だんだんとやる気を
失っていった。
睡魔に襲われ眠りに落ちた犬の尻尾のように、彼のペニスと並んで腹の上に横たわる。
膨張・収縮？を短時間に繰り返し、それ自身は本来経験する筈もない頭痛の何であるか
を思い知ったかのような彼のペニス。それもようやく落ち着きを取り戻していた。
敏感に部屋の雰囲気の変化を感じ取り、今さっきまで視線を逸らしていた前方の座標に
恐る恐る焦点を絞る。
「うわっ！」っと心の中で叫んだ。
キスをするのがそんなに驚くべき事だったっけ？心に流れた感情を牛のように反芻し、
味わい直す。女性同士だからか？
レズを題材にしたビデオなら何度か見たことがある。大人になったつもりの彼には、既
得知識の筈。でも目の前のシーンは、彼の経験や知識をあざ笑い、地平線に存在を鳴り響
かせる雷のように新鮮な衝撃をもたらした。
昨日、亜美に初めて本格的なキスをした。でも、恐竜のように顎の骨格を剥き出し、お
互いの口腔を貪りあう二匹の雌を目の前にすると、前歯をカチカチぶつからせ合った自分
達のそれが、まるでまま事であったかのようにさえ感じられる。
その濃密さに、思わず郊外学習で偶然見てしまった蝉の交尾を連想した。樹上にそれを
認め、宇宙生物を見つけたかのような高揚感に襲われた幼い彼は、数秒後……それが良く
見知った身近な昆虫が当たり前に交じり合う様であることを子供ながらに察知し、愕然と
したものだ。いつも気軽に手に取っていた馴染みの生物が、触りがたい別なものに変質し
たようなアナザーワールドな瞬間。
感情と知性は別なんだなと、男としてではなく人間としての自分にあらたな真実を発見
した気がした。錯乱してもおかしくないような状況の中、何処かに事態を観察思考する冷
静な理性が踏みとどまっていることも驚くべき事実。
パメラが、忘れていたペットの存在を思い出したかのように、目玉をこちらへ向けた。
思わず目が遭い、たじろぐアキラ。レナの下着を咥えていなかったら、唇を震わせてい
ただろう。
パメラは片手でミーナの体を抱擁すると、頬をクチュクチュ動かし始めた。言葉を交わ
さずとも、ミーナも了解したのか、同じような動作を返す。二人の頬は一時、消化物を内
包し蠢動する一連の消化器官の如き有様だった。
アキラは、パメラと目が遭うことを恐れ、仕方なく視線を股間に向ける。情けなく項垂
れた自分の性器を見、居たたまれなくなった彼は、腹部に出来た皺が呼吸で沈みそして浮
かぶ様を、瞑想を試みるかのように見詰めた。
突然、太腿の付け根にパメラの手が触れ、びくりとした。思わず、お尻の穴をひくつか
せる自分に、女心に似たものを感じ、戸惑うアキラ。やむを得ず、パメラの様子を再度窺
った。山の谷間から町を睨み付ける大怪獣のような構図。彼女はエイリアンのように顎を
開き、口から大量の唾液を垂らした。薄めのシロップが零れるようにアキラの尻の谷間に
注がれる。その光景に思わずたじろいだが、戒められた身の上では、如何ともし難い。ア
キラの粘膜は、なす術もなく唾液の落下と感触を受け止めた。
他人の唾が、自分の肛門に付着するのには、汚辱感と抵抗を感じる。
せめて、濡れあい愛し合ったミーナのものであれば……
パメラとミーナの唾液の混ざったものは、窪みに収まりきらず、前後に溢れた。後ろは
尾?骨の辺りをこそばせ、前に流れたものは睾丸の右側を通り、腹の皺にまで流れ込んだ。
唇をすぼめ、最後の一滴を搾り出すように垂らすと、正確にアナルの中心に落とすパメ
ラ。そして彼女は、ボールペン位の丸く黒い棒状の物、即ち毛ばたきの柄の先端をアキラ
の肛門に宛がった。筆で墨を伸ばすように、狭い周辺を寛げた。その一部分だけで、健気
に抵抗するアキラ。十分に濡らし、唾液がアキラの放射状の皺に浸透すると、案外楽に侵
入した。異物を拒もうとする括約筋の動きが、かえって黒い柄をしっかりと咥え込んだ。
後はアキラの呼吸を見計らって、少し太くなった柄の胴の部分を、ねじ込んでいく。
脅迫的且つ挑戦的な趣で眼を飛ばす女王。諦めるように瞼を閉じる奴隷。それにタイミ
ングを併せるように、ミサイルのような柄は沈んでいった。
彼は、口に無理やり丸いものをほおばるような窮屈さを肛門に覚えた。そして硬い便が
出きらず何センチか後戻りするような感覚があって、後は体の中へ消えていくようだった。
犬の尻尾に似せた毛ばたきの中ほどには、エアポンプが仕込まれている。女王は風船を
膨らますようにシュコシュコ遣った。
肛門の内側で、何かが腫れるような嫌な違和感に襲われる奴隷。
微かに目を開くと、彼は目の前の光景に唖然とした。睾丸の向こう側に犬の尻尾が生え
ている。女王が彼の肛門に埋め込んだのだ。女王は、奴隷に新しく付け加えた道具の具合
を、ロープを扱くような仕草で確かめている。ペットの体調を窺うような、彼女の一見優
しい微笑みに、彼の大人としてのプライドが脆くも崩れた。
「これ、おとといモモで一度試したのよね」
そう言いながら、パメラは少し強めに引っ張った。球根が根を張った地面のように、周
りの肌ごと上下する手応えがある。アキラの括約筋が反作用を起こすと、ピーチボールの
空気注入口を引っ張るような抵抗が返って来る。
経験したことのない異物感に「う〜〜っ」と唸る奴隷。
女王は、構わず勝手な台詞を吐く。
「でも、ちゃんと消毒したから安心して」