テーマパークの虜達 【55】
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レナは自分の心の動きにショックを受けていた。さっき、アキラが一生懸命ペニスを動
かそうとするその姿を、パメラ達の笑いに釣られて噴き出しそうになったのだ。授業中、
喋ってはならない時に何故か笑いを堪えられない、そんな自律神経のせいであると思いた
い。
実際、カーテンの隙間から見える光景は、今やアキラの恋人としての自覚が芽生えたレ
ナにとって、非常に心苦しいものなのだ。今この狭い空間を出て、アキラと抱き締め合い
たいと言う願いと、パートナーの屈辱的な姿を見てしまったことを黙っていてあげたいと
いう願いが心の中で葛藤する。
でも、さっき笑い声をあげてしまいそうになったことを思い出すと、悲痛な思いの方に
自らの心を誘導しようとする自分の心理に嘘臭さのようなものも感じた。
緊張と戸惑いに乱れに乱れるこの心。しかし確かに言えることは、パメラを介してとは
言え、お互いが求めあっていた事実が「確認しあえた？」ことが「嬉しい？」否、むしろ
安心出来たと言ううべきか。
それにしても、私とアキラの愛の始まりのなんと惨めなことか…
パメラは言う。
「私のおかげよね？」
認めたくない真実である。その言葉はレナとアキラの胸に双子の兄弟のように響き渡っ
た。
勝ち誇ったようにアキラを見下ろす女王は、にやりと笑い、命令する。
「じゃあ、返事しなさい。私のおかげよね？」
女王は高圧的な視線を向け、その10本の爪をアキラの内ももに突き立てる。
アキラの腹筋が震え、例の努力を続けた。今や、膨張し脈打ち始めた男根がビクンビク
ンと揺れた。そしてやはり、肛門に突き立てられた尻尾も切なく揺れるのだった。
レナの鼻孔から熱い空気が噴き出しそうになった。今度も笑いそう？否、嗚咽をこらえ
たのかもしれない。彼女の心に浮かんだのは、「やめてあげてーー」と言う悲痛な叫びだ
った。
昨日、彼女の体内を踊り狂った恋人のそれが、他の女達の目の前で晒しものににされて
いるのが、今更ながらに腹立たしくなった。顔がかっーと、熱くなり、叫びそうになった。
「やめろっ！見るなっ！」と…
恥ずかしい思いをしてる彼のシンボルを隠してあげたい、私の穴に入れてあげたい。そ
う思ったのだ。
女王は言った。
「あなたがグズグズしてるからこうなるのよ」
アキラのペニスが一瞬しゅんとなったように微かに縮んだ。
レナの心に芽生えた悋気が後押しし、まるで、パメラの発言と同調するかのように、心
が動いた。「そうよっ！アキラが悪いのよ。アキラがグズグズしてるから、もっと早く私
を抱いてくれてたら、こんなことにならなかったのに。もうこんなゲームとはオサラバし
てたかも知れないのに…」
そして、心の中で、もう一人の自分が自分に叫ぶ。「貴女だって、つれない態度をとっ
たじゃない。まるで、他の男に気があるかのように…」、「アキラの事なんか眼中にないよ
うな態度だってしたわ…」。
レナの頬を、涙を伝った。
目を閉じた。ヘッドセットの向こうのサラは何も言ってこなかった。
レナが涙しているのに同情したのか、それとも彼女達の進行上、レナが泣き出すのが、
まずいと思ったのか？
そんな考えが甘いことを数秒後に思い知らされた。
今日、サラに命じられて着せられたビキニのボトムは特殊なものだった。丁度女性器の
谷間を押し開くように、山脈のような起伏があるのだ、そして、サラの遠隔操作で作動す
る。
レナを今回襲ったバイブレーションは、微妙なものだった。下腹部の性感の巣をスルー
するようなじれったい刺激を与えて来る。ビキニトップでも、両方の乳輪に沿うようにく
すぐるようなバイブレーションが走りだした。
ただでさえ、アキラを思う度、濡れてきたその部分がさらに潤う。拘束される両手に力
が入り、太ももを、内側に絞り込んだ。尿意を堪える子供のように。実際に尿意を感じて
いたのかもしれない。
股を絞ると、山なりの部分が余計食い込むことに気付き、やんわりとガニ股になってみ
たりもした。
タイトなボトムは、しっかりと密着していて、刺激から逃れそうにない。少し、ゴム製
の生地が捩れた時、股間に「めちゃぁ」とした感触を感じ、切なくなった。
ああ、もうアキラとやらせて、せめてアキラの愛撫で行かせて欲しい。涙で目が翳み、
気が遠くなりそうだった。
「あなた達は自由の刑に処されていたのよ」
パメラはちらりとカーテンの奥のレナに視線を向けて来た。
「なんだって、出来た筈なのに、あなた達は自分たちでは目標を達成出来なかった。行動
の枠と心の戸惑いに主導権を奪われ、何も出来なかったのよ」
「あなた達は当たり前のようにある自由に敗北し、私に囚われたの」
難しい言い回しで、良く分からないものの、言い逃れのない事実のような気がし、アキ
ラのペニスは重力に従順になって行った。
それを見てとり、気合いを入れるように、アキラの男根を右手に握り締める。男根は、
パメラに支えられ、前に向けられた。すなわちレナの方に。
私の彼に何をしてくれるのと、思わず目を見開くレナ。
可愛い割れ目が、オタマジャクシのような小さな唇をこちらに向ける。
「これだけは、約束するわ。私は二人を悪いようにはしない」
レナの喉元から今にも「何を今更っ」と言うセリフが、飛び出しそうになった。
「けして、別れられない二人にしてあげる。強烈で刺激的な、二人を強く結び付ける接着
剤のような思い出をあげる」
パメラの表情が少しほくそ笑んだように見えた。
レナの心の中で、「ふざけるなっ」と言うセンテンスが浮かんだが、彼女の本能はこう
叫んでいた。「早く、そうして。お願い早く」。
今や、レナの下腹部と尾てい骨、頸椎のあたり、いや今や体全体に、むず痒いような欲
望のパルス信号が駆け巡っていた。
女王は言う。
「どう？貴方はまだ迷う？レナ以外の女性にも可能性を求めたい？」
アキラは大きく頭を振った。
「レナを生涯のパートナーに出来る？」
今度は無理な姿勢で、懸命に頷くアキラ。
はけ口のない性的刺激の為、悪寒のようなものを背中に覚え始めていたレナの胸の内を
温かい感情が満ち溢れた。喉が少し腫れるような感じさえした。
女王の指の内側で激しく脈動する男根。
握手をするかのようにその手に力を込める女王。
「これは約束であり、契約よ……」
女王の背後に寂しげな表情を漂わせるミーナの姿があった。
彼女は心の中で、女王に対し、軽く悪態を付くのだった。「おまえは神父か…」