テーマパークの虜達 【58】
★
マサトからの提案を受けたショウ。彼は、望むところだと思い、ニヤリとした。
それにしても、予想外の大戦力で、やって来たようだ。彼らの基地はガラ空きだろう。
アリエス救出は、レナ軍の力がなければありえなかったのだから、当然と言えば当然と言
える。義理堅い男だと思った。だが、こうも思うのだった。散々抱いたし、半ばＡＶ女優
並みに晒しものにされたアリエスに飽きて、レナに浮気心が起きたのかも…
他チームの男に狙われるくらいなら、俺が先に抱くっつうの……
目の前に、瑞々しくそして青く輝く、惑星ターコイスの姿が広がっている。大陸と言え
るものはなく、数多くの島々があるだけである。陸地のパーセンテージは一割にも満たな
いだろう。あの島の一つに囚われている自軍の姫のことを想像すると、むず痒いような、
興奮が鳩尾のあたりまで押し寄せて来た。でも、自分が独占出来ない女であることも既に
了解していた。しかし、あの二人の子供染みた恋愛感情に巻き込まれたことへの鬱憤のよ
うなもののはけ口は欲しかった。と言うよりも、その目的は達成させて貰う予定だ。
アキラの体調を察したかの様に、パメラは、アキラをなるべく楽な姿勢にし、彼の全身
を軽くマッサージした。アキラの頭は、柔らかい彼女のワンピースの裾を介してパメラの
膝枕の上にあった。
彼女のやわ肌は女王の凄みを感じさせなかった。毛穴から漂う淡く優しい体臭に、安心
感さえ感じる。近くに居るレナに対する後ろめたさがなかったら、頭をスリスリしていた
かもしれない。
あれっ、こんなに優しかったのか？不思議な心地に、「レナとの忘れられない思い出を
上げる」との言葉を思い出し、ほのかな期待さえ抱いた。そんな甘い観測は、打ち消さな
ければならないと思う冷静な自分は心のどこかにいる筈なのだが、それに抗う激しい心を
呼び起こす余力は、今の彼には残されていなかった。
パメラが、ミーナに指示し持ってこさせたバスケットから、ティシュを取り出し、今や
お腹の上で、グタっとなったアキラのペニスを、掴むように拭った。更に、ティシュを何
枚か取り、彼のわき腹から背中を拭いた。彼女に促されるままに体を捩る、患者のような
アキラ。
「一杯出たね」優しくアキラを見下ろすパメラ。
男根に被せられたティッシュを取り去ると、半ば乾いていた彼の精液が糊の様になって、
ティッシュの一辺が紙縒りの様に、張り付いていた。
「ぶわははっ！」
突然、おっさんのように笑うパメラ。
「あんた。ティシュが間抜けよ」
一瞬でも、パメラの膝の上に抱かれることに癒しの様な感情を抱いた自分が悲しくなっ
た。また、後ろでレナの鼻がなったように感じた。まさか笑われたのか？アキラは、その
可能性を想うと、しゅんとなった。
レナは自分が、笑い出しそうになるのを、今や喋ることが出来ない緊張からだとそう自
分に言い聞かせていた。泣き出す寸前の嗚咽のようなものだ。
まさか気が狂う寸前なのだとまでは思っていない。狂おしい感情に支配されてはいるが、
冷静な自分はまだ健在な筈だ。その証拠に、今、思わず鼻を鳴らしてしまったことに、ア
キラが気付いただろうか？だとしたらどう受け止めたのだろうかが心配になって来た。
そんなレナの当惑を余所に、パメラは、新しいティシュに自分の唾をタップリたらし、
それで、アキラの鬼頭と雁の部分に張り付いた紙片をぐりぐりと、拭い始めた。
いやっ汚い！私の恋人の性器を他の女性の唾液で、拭われるなんて……
そんなレナの心の叫びが、まるで聞えているかのように、アキラの男根を扱く様に拭う
パメラ。そして、尿管に残った精液が鬼頭の先端から滴り落ちるのを、ちょんちょんと拭
き取る。パメラの左手の指の中で、アキラの男根は再び膨らみを増していった。
他の女の手の中で、チ○チ○を大きくするなんて許せない。頭の中でそんな叫びがこだ
まする。パメラの後頭部を蹴倒してやりたいそんな気分だった。
パメラの発言がこの部屋の空気を変えた。
「この部屋には、いくつものカメラがあるわ」
アキラの顔が凍りつくのを見て、パメラは早めに説明を加えた。
「今は、スイッチを切ってるけど…」
そこで一息付くパメラ。
「私達がスイッチを押せば、10サイト以上にライブで配信されるわ」
アキラの顔を見下ろすパメラ、だんだんと女王のオーラを取り戻して来ている。
「あなたのこんな恥ずかしい姿も、昨日あなたがしゃぶったレナのお○んことかも特典映
像で追加した上でね…」
アキラは、ここに来てから、どれだけ恥ずかしい行為をさせられて来たのかを回想する。
それを考えると、血の気が失せて来た。それはレナも同じだった。
「大丈夫よ、そんなことしないから」
レナにもはっきり聞こえる大きな声で言う。その言葉を聞いて、ひと番いの奴隷の体温
は少し温まった。まるでシンクロするように。
「ただし……」
奴隷たちの体が再び強張る。
「私の指示に従わなければ、即座に、スイッチを押すわ」
奴隷達の気は、また少し遠くなった。
「それと、部屋の超高感度マイクに貴方達の声紋を登録したわ。これから、一言でも意味
のある言葉を発したらアウトよ、ライブの配信が始まるから。私たちはあくまで、設定ミ
スによる事故だって言い張るからね…「すいませ〜〜ん。これから気を付けま〜〜す」っ
ていって話は終わりよ」
アキラは絶望的な感覚に襲われた。機会があれば、パメラ達の目を盗み、ゲームリタイ
ヤの可能性をレナと相談しようかとの望みも断たれたからだ……
レナの脳裏にも、ここ数十時間の間に強いられた行為が走馬灯のように蘇る。
「安心して、よがり声とかには反応しないから」
優しい口調でそう言うパメラのセリフは奴隷達の心には何の救いにもならなかった。
追い打ちを掛けるようにパメラは言う。
「返事する時は、頷くか、チン○をピクピクさせて返事するのよ。解った？」
返事を促すかのようにアキラの髪を力強く掴むパメラ。アキラは苦しげに頷き、それを
確認すると、すっと立ち上がった。アキラの頭はぽいと、パメラのワンピースに裾から放
り出され、その動きにはもはや優しさの欠片も感じられなかった。
ミーナがスタンドの背後にあるパネルを操作し、丸いステージとスタンドをクルリと取
り囲んでいたカーテンは、スルスルと天井に吸い込まれていった。
始めて本格的に相対するレナとパメラ、本来対等なリーダー同士の対面場面である筈な
のに、これでもかと言うくらい惨めなレナの立場だった。声紋の件があるので、パメラに
罵声を浴びせることは出来なかったが、せめて敵のリーダーとして、睨みつけてやろうと
した。
一瞬、険しい表情をパメラに向けたレナだった。が、眉間に皺を寄せ、鋭い眼光を浴び
せるパメラにたじろぎ、すぐに俯くレナ。心の中で、自分でも予期せぬ想いが浮かびあが
って来た。「サラっ！どこに行ったのよ。助けてよ…」
「あんたも、頷くか、お○んこパクパクさせて返事するのよ、解ったんかい？」
不良のような抑揚ある口調でそう言うパメラ。
こんな理不尽で、恥ずかしい要求にも今や素直に応じるしか選択肢はなかった。
コクンと頷くレナ。スケバンにカツアゲされる良家の子女の様な悲しい気分。
まあ、いけそうだわ、と心中で奴隷見習いの調教具合を値踏みする女王。
「じゃあ、これから四時間ほど遊ぶわよ」
ええっと、ばかりにビクンと体を揺らしたレナが、パメラには既に可愛く思えて来た。
「あなた達次第よ。楽しめば1時間位直よ」
あれっ、聞き違えたかな、4時間or1時間どっち？
「楽しい1時間掛ける4よ。あなた達次第よ。あなた達が楽しくないと私たちも疲れるん
だから」
レナの心中を見透かしたかのようにパメラはそう言って、彼女に初めてほほ笑みかけた。
レナには微笑み返す余裕はなかった。レナの方向を未だ見れないで居る哀れなアキラの
顔を、横目に見詰めるレナ。「あなた達次第よ。楽しめば1時間くらい直よ」と言うパメ
ラの提案にも似たセリフに縋りつくしか、自分の気持ちを安定させる術は思い浮かばなか
った。
でも、「4時間って……」これからの時間を思うと急にトイレに行きたくなってきた。