テーマパークの虜達 【62】
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距離があるので、米粒程の大きさにしか見えないが、敵の黄色い船が姿勢制御機能を失
いクルクルと舞うのが視認出来た。同僚の黒い宇宙船が、のたうち回る芋虫に引導を渡す
ジガバチのように、間欠的に青白い光弾を撃ち込んでいる。敵の船はどうやらシールドに
全エネルギーを集中し、その場を凌ぐしか、もはや手がない様子だ。
ダリアは思い出す。ベノン攻防戦の時のアリエス軍の陽動作戦を……。
アリエス達は、国境沿いにあるパメラ軍の重要基地の一つに重力魚雷で、攻撃を仕掛け
た。スペースシップを丸ごと一隻充当出来そうな高価な兵器だ。アリエスは、せっせとそ
れを溜め込んでいたらしい。基地の磁界ネットバリアは破られ、その後、アリエス軍の大
部隊が襲いかかった。第一波の攻撃を終え、本来なら第二派の攻撃を実施、基地を攻略す
る筈。だが、彼らはそうしなかった。
サボライトの自軍基地を空っぽにし、針路を予想しにくい外宇宙に出たらしい。そして、
アリエスの大部隊はベノンに針路をとった。
アリエスとそのパートナーの2隻の船は、その頃には既に、ベノンの周辺宙域に潜んで
いた。頃合いを見計らった彼らは、ベノンの要塞に重力魚雷に拠る奇襲攻撃を敢行。その
攻撃自体はアリエスの思惑通り成功し、ベノン要塞の磁界ネットバリアは崩壊した。
しかし、ダリアはその時、ベノン要塞の秘密兵器、重力地震を発動したのだ。その時空
震動を受けた周辺の宇宙船は、1時間近くワープ航行出来ない設定になる。つまりアリエ
ス達は、逃げれなくなった。後は、本隊の到着を待ちながら、迎撃に出たパメラの攻撃を
凌ぐしか手はなかった。
残念ながら、アリエスの援軍は中々ベノンに到着しなかった。恒星系に侵入する寸前で、
パメラの大部隊に遭遇したのだ。
実はパメラ達は、スパイ網を駆使し、事前に情報を入手していた。
アリエスは、将来の同盟を前提に、ベノン攻略作戦時、自軍の拠点サボライトを防衛し
て欲しいと、レナとワンダーの双方に依頼。その際、ベノン攻撃の情報がパメラにもたら
されていたのだ。結局、力だけでは目的を達成出来ない。情報を自由に駆使するものが最
後に勝つ。
今回は我々が、陽動作戦を行う番だ。要塞奪回も、敵のせん滅も意図していない。
パメラ軍がターコイス、いや、レナを諦めたと思わせるのがダリアの率いる部隊の目的
だった。実際、ベノン攻防戦で同盟側にぼこぼこにされ、まだ修理が完了していない船ば
かりの寄せ集めである。
案の定、サボライトから進軍したアリエス軍は、ターコイスとの全面戦闘に踏み切った。
交渉継続と言う選択肢もあったのにも拘わらずだ。
あいつらは、実際、良く基地を空っぽにするな……ダリアはアリエスのチームのやんち
ゃなその戦略を思い。少し、笑いが込み上げて来た。アリエスを捕え、ネット公開で甚振
った時のキャラクターが、さもありなんと思えるやんちゃな感じだったからだ。でもパメ
ラに女の性を責められ、二、三度「ヒーヒー」言わされたら、しおらしくなった。
ああ最近、戦闘ばっかり担当させられる。本当は自分も遊びたいのに。
ちょっと格闘系のＳＭプレイで、ミーナを泣かせてから、イベントから外されるパター
ンが多い。
怪我をさせるようなきついことはしてないし、絶対嘘泣きなのに……くそっ！。
黄色い船が完全に停止し、黒い僚艦はその場を立ち去った。敵隊員の捕縛命令をダリア
が発令していないからだ。
彼女は考えた。パメラは敵の隊員を捕える必要はないと言ったが、捕えてはいけないと
もいってない。心が動いた。自分も専用の玩具が欲しかった。女でも男でもどっちでも良
かった。出来れば、幹部クラスが良い。何故かというと、一般隊員クラスのプレイヤーや
参加期間の短いプレイヤーは、引退後の報酬がそれほど多くないからだ。アルバイトに毛
が生えた程度の収入だ。だから、あんまりひどい目に遭いそうになるとリタイヤする。実
際、一級のプレイヤー即ち軍団のリーダーであるアリエスでも、ベノンで捕まった時は悩
んだ筈だ。ただ、アリエスのリタイヤは、チーム全体への連帯責任が適用される。既に一
年近く継続参加し、しかも短期間で勢力を拡大したアリエスは、報酬も大きい。もう多分、
ローンを組んで、何かでかい買い物をしてる可能性もある。
リタイヤしないよう騙し騙し、プレイをエスカレートさせるのは、女王の技術力が試さ
れるシーンであり、醍醐味なのでもある。どちらかと言うと、権利放棄状態で、相手をリ
タイヤさせてしまうと、捕まえた側もかなり後悔することが多い。
何でかって？……これが本当の戦争でもないし、抗争でもないからだ。あくまでルール
と契約に基づいた競技である。しかし、ルールの拡大解釈を多分に行うパメラ達であるの
も否めなかった。
ダリアは、操縦士の方を見た。新たにチームの一員として加わったケイトだ。パメラか
ら教育指導を頼まれた。初めパメラが名付けたプレイヤー名は、何か呼びにくかったので、
本人と相談して、ダリアが名を変えた。
「あの、船に近付きなさい。敵を捕獲するわ」
さんざんプライドを踏みにじられた上に、ほぼ無理矢理に参加させられたこのゲームだ
ったが、いざ自分が支配者側の役割になる可能性を感じると、初めての経験に、少し胸が
高鳴るケイトだった。
★
レナの激しく上気した頬とあえぎ声に、満足したかのようにパメラは鞭を振る手を止
めた。
パメラを見つめ返すレナ。息の乱れていない女王を見て、少し敬服の念を感じた。歯向
かっても無駄だと言う思いが一層強くなる。
そしてアキラを見詰め、二人は情を通わせる。心配気だが、熱い瞳で、こちらを見つめ
るアキラ。
アキラの性器は、態勢を整えるかのように時折、風情を変えるが、大方、勃起状態だっ
た。確かに恥ずかしくもあったが、もし、恋人のペニスが萎えた状態だったら、寂しい気
分になっただろうなとも思う。
嬉しい。何故、こんな素直な感情が持てなかったんだろう。
アキラはこないだ車を買ったらしい。おそらく、ここでの収入をあてにしている筈だ。
レナとアキラどちらがリタイヤしてもアキラはローンに苦しむだろう。
そして彼は、レナをドライブに誘った。彼女はさり気なくＯＫしただけで、それほど感
情は表に出さなかった。何故、その時、彼の手を取って、嬉しいと言う感情を素直に示さ
なかったんだろう。本当に嬉しいと……そしてその夜、素直に肌を逢わせ合えば良かった
のだ。彼が私をドライブに誘ったそのことは、まさしく今、目の前で、彼女に向かって脈
動する愛しい男根の囁きに他ならなかった。
まるで学校の同じクラスの様な狭い生活空間で、もう一月以上、一緒に暮らしているの
に……、「同じクラスの様」、レナは心の中で復唱した。それが、いけなかったのかも……
レナは、こんな時代にも拘わらず、自分とアキラに作用したそんな初な心理を疎ましく思
った。
レナとアキラの様子を、静かに見守るパメラ。腰に手を当て立つパメラは、まるで教師
のように見えた。レナは、さっきから時折覚え、その感覚が短くなる尿意が気になり、パ
メラに視線を送った。
「何？」
パメラがスタンドの右側に回り、レナに近付いて来た。
「そんなに往きたいの？」
おおっ！通じたと思ったレナは、喋る事を禁じられている為、コクンと頷く素ぶりを見
せた。
「もう少しの我慢よ。慌てないの！」
パメラは人指し指を立て、ちっちっちとメトロノームの様に左右に振る。
少しカチンと頭に来るも、「もう少しの我慢」と言う言葉に希望を持つレナ。
「まずは前戯からよ」
？がレナの額から浮かびあがりそうになった。
「たっぷり前戯を楽しんだ後に、あの子のギンギンの熱いチン○を、突っ込ませてあげる
わよ」
パメラはそう言うと、アキラの方を振り返えり、同意を促した。
「ねっ！」
アキラはコクンと頷き、その息子も縦に軽く触れた。
レナの心は「アキラ〜〜」と悲痛な悲鳴を上げる。
そして彼女は、パメラを再び見詰め、テレパシーを発するかのように、心の中で叫んだ。
「いきたいの意味が違〜〜う！……」そしてこうも思う、「往きたいけれども……」と。
そんな彼女の事情は無視され、パメラはその右手で、レナの右胸をもみしだき始めた。
奴隷のお○んこは、ビキニの生地の裏で人知れずひくついた。まるで「往きた〜い」と
呟くように……