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　荒れ果てた草原。石ころの散乱する大地を歩いた。レナのチームらしき人影が銘銘近く
をバラバラに歩いている。アキラの痕跡を探すかの如く、トボトボと当てもなくさ迷って
いた。曇り空の下、ズシンと衝撃があった。空間全体が奮え、地響きが後を追う。この辺
は火山地帯だったのだろうか？レナが戸惑っていると、揺れはますます大きくなって来る。
立っていられなくなり、地面に手を着いた。数メートル先の地肌が爆発した様に炸裂し、
そこから、天高く土砂が吹き上げた。大地は、次々と底に向かって剥がれ落て行く。土煙
はナイアガラの滝のように左右に広がり、レナの前に立ち塞がった。皆は、地割れの向こ
うに居り、レナはこちらに取り残されたのを知った。土煙の向こうに、こっちを心配そう
に窺う翔の姿を薄っすらと確認出来た。グワッと言う空気の振動が起こり、網目のような
起伏のある大理石の塔のようなものが、ズズズズズっと目の前にそそり立った。レナは砂
埃に細めていた目をわっと見開き、腰を抜かしそうになった。
　それは、自らくるりと一捻りすると、岩肌のような黒い側を見せた。こちらに何か叫び
ながら、手を伸ばす翔。驚きに言葉が出ないレナを尻目に、その巨大な塔は、翔の方に倒
れ掛かった。
塔の先端が、ぱっくりと二つに割れた。尻餅をついて、後ろで両手を地に着けたレナの目
に、大きな虎眼石のようなものが、見えた。
　それは、桁外れに大きい鰐の頭だったのだ。翔の体をグイッと飲み込むと、その眼は、
レナを見つけ見開いた。カメラのフォーカスのように……
　レナは、奮えあがる。全身の毛穴が上向きになるのが判る。声にならない悲鳴をあげな
がら、後ずさりした。
　鯨ほどもあるそいつは、地割れの中から這い出し、レナを追いかけ始めた。何時の間に
か四つんばいになった自分が反対方向に逃げ出しているのを悟った。鰐の素早く歩く音が
地響きになって伝わってくる。ようやく立ちあがり、走った。後ろが気になるが振りかえ
る勇気はない。変な方向に青い空が見えた。崖っぷちだった。止まるには、晩すぎた。遠
くに鳥が旋回する姿が見える。自分も鳥になれたら……そんなことを想った時は、もう落
ちて行く真っ最中だった。
　さっき見えた鳥が、落ち行くレナに近寄ってきた。どんどん巨大になる。大きな爪がレ
ナのウェストをパンでも掴むようにグイッと締めた時、既に意識は遠のいていた。鷹かな？
自分を掴んで飛ぶ大きな影を見上げながら、彼女の世界はフェイドアウトしていった。

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　クンニリングスを貪るかのように尻を突き出すミーナ。肉の襞は彩りを変えながら、茜
の指の狭間で踊った。海老のように踊る茜の中指と薬指は、茂みの下の陰阜に宛がわれた
親指と共にミーナの神経叢に食らいつく。がむしゃらに絶頂を得ようとするかのように、
両手を前に突き出し、脹脛を強張らせながら、ミーナは下腹部を揺らせた。締められる膣
口に茜が感嘆の息を吐く。たっぷり濡れたその部分は、指先を吸うかのような音を立て、
茜の吐息に応えた。我慢も限界に来たのか、ミーナは子犬の様に泣き出した。嘘のない喘
ぎ声は、目に見える雌の生態より、生々しかった。

　茜に現場を委ねていたパメラが、金網のパーテーションの向こうから帰ってきた。
　ミーナを一瞥し、言う。
　「お尻の穴をあんなにひくつかせて、あの子今にオナラするわよ」
　振りかえり。
　「さて！」
　アキラのペニスを見る。
　「ピンコ起ちね」「女の子が行くシーンがそんなに珍しい？」
　グイッとアキラの物を掴む。
　水で洗ったのか冷たかった。
　片方の手で金玉を包んだ。上に固く縮んで行くのが自分でも判った。
　「可愛いわね。」
　パメラは愛しそうに、ペニスの先端に顔を近づける。
　唇を付けられそう。怯んだアキラは太腿を絞り、腰を引いた。
　それが気に障ったのか。アキラの股間から自ら身を引いた。伸ばした右手でアキラの陰
嚢を掴む。
　「そろそろ満タンになって来たみたい。また」
　意地悪くコリッと抓む。
　下腹にまで痛みが走り、アキラは、うめき声をあげた。
　陰嚢を玩び痛がるアキラを眺めながら不敵に笑むパメラは、突然首を傾げると髪に隠れ
ていたヘッドホンのマイクを伸ばし、アキラの前を去った。
　「ええ、判った！」
　「上手く行く自信はある？……」
　ひどい仕打ちからのささやかな解放に僅かにほっとするアキラの耳に、パメラの会話が
聞こえてくる。
　「まあ、あなたに任せるわ……」
　耳を欹てるアキラの目の前には、絶頂の余韻の後、死に掛けの子羊のように横たわるミ
ーナの姿があった。

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　気が着くと鰐も鷹も居なかった。落ちて行くような感覚だけが僅かに残っている。
　亜美…。呼びかける声がする。えっ？これは、ひょっとしてあの時？
　昔。応えるチャンスだったのに寝たふりをしてしまった。
　相手の両親が留守で、初めて彼の部屋に泊まったとき。まだ二人は、幼かったのか……。
そうじゃない、あの子に勇気がなかったんだ。貼り付くようにその背中を抱きしめ、充分
に膨らんだ胸を押し付けた時も、相手は、もじもじするばかりだった。期待外れは，本当
は女の方が多く経験する運命にあるのかも。結局その夜、二人は愛し合うことのないまま
別々の恋を歩み始めた。
　淡い想い出の回想シーンは終わりを告げた。気がつくと、星座の輝く満天の夜空の下、
砂浜を一人で歩いていた。ひょっとしてここは砂漠なの？進む方角に迷いが生じ、歩みが
止まった時、突然前方に焚き火のような赤い炎の塊が現れた。それは、彼女に気付いたか
のように突然宙に浮かび上がると、ＵＦＯが宙を舞うように、クルクルと回転しながら近
づいて来た。朱色の羽に縁取られたような銀盤。水面のような滑らかな鏡面が顔のまん前
に滞空した。彼女は、はっと息を呑んだ。それは鏡の中に、まるで家畜の如く裸で戒めら
れベソをかく彼の姿を発見したからであり、同時に誰かが、自分の両腕を掴んだけはいが
したからだ。亜美…。彼の呼び声が頭の中でこだまする。